WWW http://www.iwate-np.co.jp

退位日決定 まだ考えるべきことが


 天皇陛下が2019年4月30日に退位することが決まった。「平成」は31年で幕を閉じ、皇太子さまが5月1日に新天皇に即位して新たな時代が始まる。

 昨年7月、「生前退位」の意向が伝えられてから、この問題は国民的な関心を集めてきた。それだけ象徴天皇の存在感が大きかったことを示している。

 成熟した民主主義国にふさわしい象徴天皇制とは。世界の国々が分断に直面する混迷の時代に「国民統合の象徴」の意味は。改めて考える機会にしたい。

 陛下一代限りの退位を実現する特例法で、法の施行日となる退位日は皇室会議での意見聴取を経て決めると定めている。1日の皇室会議で意見が集約された。

 退位日を4月30日にした理由として、菅義偉官房長官は1月に陛下が在位30年を迎えるほか、年度末前後は統一地方選にかかり、国民の異動時期と重なることを挙げた。

 国民は間もなく、江戸時代の光格天皇以来約200年ぶりに、逝去によらずに新時代が到来する歴史的な場面を見ることになる。

 陛下の退位、新天皇即位の準備も慌ただしくなるが、残された課題も思い出しておく必要がある。退位の道筋が決まったきっかけは、昨年8月の陛下のお言葉だった。

 言葉を選びながら言及されたのは、自らの高齢化で象徴天皇としての務めを果たせなくなる危機感、そしてその務めが途切れず安定的に続いていくことへの願いだった。

 政府が有識者会議を立ち上げ、特例法の成立までこぎつけた。退位日も決まったが、これですべてが終わったわけではない。

 特例法の付帯決議は、安定的な皇位継承のために「女性宮家」創設について検討を行い、速やかに国会に報告することを盛り込んだが手つかずのままだ。

 秋篠宮家の長女眞子さまは来年11月、陛下の退位を前に結婚し、皇籍を離れられる。皇族減少対策は待ったなしの課題となっている。

 先送りしていては象徴天皇制の足元を危うくするばかりだ。それは憲法で定める「国民の総意」から遠ざかることになる。陛下の問題提起にこたえていく責務が私たちにはある。

 新しい元号は周知期間を長めにとるため、18年中に公表する予定だ。西暦が定着しているとはいえ、元号は依然、日本人の生活と体に染み込んでいる。

 ノンフィクション作家の保阪正康さんは「歴史を考える時の句読点、息継ぎのようなもの」と語る。あと1年半もない「平成」を見つめ直す作業も欠かせない。

(2017.12.2)

     論説トップへ戻る

   
トップへ