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政権への逆風 逃げの一手でいいのか


 森友学園の問題で、大阪地検特捜部は学園側の補助金不正受給疑惑を中心に刑事責任を追及する。国会では、国有地が破格の安値で学園に売却された経緯が焦点だった。

 昭恵夫人ら安倍晋三首相周辺が関与した疑いは、払拭(ふっしょく)されてはいない。学園側の立件だけで問題を終わらせようとするなら、国民の政治不信は高まりこそすれ、解消されはしないだろう。

 共謀罪の趣旨を盛り込んだ関連法改正で政府、与党は、監視強化への国民の懸念を置き去りに、委員会採決を省く「奇策」によって会期末直前に強引に成立させた。審議するほどに際立つ政府側答弁の矛盾や曖昧さに、追及を避けたとみられても仕方ない。

 もう一つ、加計学園の獣医学部新設計画に関する首相の関与疑惑の追及を、早期に切り上げる思惑があったのは想像に難くない。学園は首相が「腹心の友」と呼ぶ大親友が理事長を務めている。

 しかし、議論によらない強引な幕引きに国民が納得するはずもない。各メディアの世論調査で、内閣支持率は軒並み急落した。7月2日投開票の東京都議選で、自民党は国政与党そのままの逆風にさらされている。

 いまだ議論がある特定秘密保護法や安全保障関連法の成立を強行した際も、支持率を下げた。その都度、経済政策を打ち出すなどして持ち直してきたが、今回は、その「教訓」もなかなか通じない。

 安倍首相は国会閉幕を受けた記者会見で、加計学園問題に関し「指摘があればその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしていく。国会の閉会、開会にかかわらず、分かりやすく丁寧に説明していきたい」と言った。その約束も果たさぬうちに、今度は全国で獣医学部新設を認める考えを示した。

 この発言には政府、与党内からも疑問の声が噴出。2020年の改正憲法施行を目指す党総裁としての意向にも戸惑いが広がるなど、自ら逆風をあおる展開に陥っている。

 加えて自民党議員による秘書への暴行が発覚。首相腹心の一人とされる稲田朋美防衛相は、都議選の遊説で「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と発言。自衛隊の政治利用として党内外の批判を浴びている。

 加計学園問題で民進、共産など野党4党は、憲法の規定に基づき臨時国会召集を求める。与党議員が国民の代表なら野党も同じ。政権は「国民の声」に無頓着すぎる。

 「数」は政権の力ではあるが、その政策の正当性は国民の支持があってこそ。逃げの一手を決め込むようでは民主主義の名に値しない。身内の不祥事の続発は、速やかに国会を召集せよという天の差配ではないのか。

(2017.6.29)

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