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「共謀罪」巡る攻防 こんな国会でいいのか


 国会は18日の会期末を目前に、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案の参院採決を巡って緊迫の度を極めた。

 とはいえ議論が白熱したわけではない。与党は14日の参院本会議で民進、共産両党が参院に共同提出した金田勝年法相の問責決議案など、野党側が次々繰り出す案件を粛々と処理。言論の府であるべき国会は、与野党による手練手管の応酬合戦に陥った。

 自民党の高村正彦副総裁は先週、野党の抵抗をけん制して「悪知恵の限りを尽くしている」と批判。この発言に、小池晃共産党書記局長は「悪知恵の限りを尽くしているのは自民党」と反論した。議論の本筋がかすむ中で、主権者たる国民の存在はどこまで意識されているのか、いないのか。それが問題だ。

 与党には当初から、審議時間が20時間に達した段階で採決に踏み切る想定があった。「議論は尽くされた」という論法で民進党など野党4党の反対を押し切る算段だ。会期は限られるとはいえ、その理屈はおかしくないか。

 衆院でも、30時間程度をめどに審議を打ち切り採決を強行した。こうした数字には、どんな根拠があるのだろう。

 法案は基本的に、国会で過去3回廃案となった共謀罪の趣旨を引き継ぐ。その重大さに鑑みれば、審議時間から決める運営は理解できない。

 他に重要法案もある。会期延長は当然の選択肢だが、ここまで与党は消極的。気になるのは、首相周辺の関与が疑われる森友学園や加計学園の問題で、真相解明に後ろ向きな姿勢が際立つことだ。

 世論調査では、与党支持者も含めて両問題とも説明不十分とする回答が大勢だ。政権の政治姿勢そのものに疑惑の目が向けられていることに恥じ入るなら、会期内で国会を閉じる発想にはなるまい。

 国会周辺では連日、市民団体が主催する抗議集会が開かれ、主催者発表で時に1万人を超える参加者が「監視社会は許さない」と声を張り上げているほか、盛岡市内をはじめ全国各地で同様の抗議行動が繰り返されている。

 批判の声は国内だけではない。プライバシーの権利に関する国連特別報告者は、今回の法案が「プライバシーや表現の自由を侵害する懸念がある」との書簡を政府に送付した。こうした指摘を、安倍晋三首相は「著しくバランスを欠く」などと批判。けんか腰の反応は、世情の不安を増幅させたことだろう。

 特定秘密保護法、集団的自衛権行使に道を開く安全保障関連法に続き、世論を二分する最重要法案で、またも官邸主導で決着をせく与党の国会対応は、その権威を自らおとしめるものではないのか。

(2017.6.15)

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