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再稼働と核のごみ 重荷増やしてよいのか


 政府は、原発の高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分で、地下深くに地層処分できる可能性がある地域を示す「科学的特性マップ」の基準をまとめた。早ければ今夏に提示するとみられる。

 地層処分に好ましい特性かどうかにより日本地図を塗り分ける。周辺の火山や活断層の有無、地盤の強度などを基準にする。

 もともとマップは「科学的有望地」を示す目的で、昨年の提示を目指していた。しかし、「有望地」「適性」という表現をめぐり、国内の説明会などで異論が出された。

 このままでは各地で反発や混乱が生じ、最終処分場選定の手続きが破綻しかねないと判断。慎重に表現を見直すなどして、公表時期がずれこんでいる。

 この経緯を見ても分かるように、処分場選びは極めてデリケートな問題だ。原子力政策で先送りされてきた「トイレなきマンション」解消の先行きは見通せない。

 それならば、核のごみをこれ以上増やさないことも必要だ。元となる使用済み燃料は既に大量に出ているが、今後抑制する方が将来の負担を軽減できる。国の方針は再処理後の最終処分だが、再処理しない場合は使用済み燃料そのものが核のごみになる。

 しかし、再稼働の動きは止まらない。

 東京電力福島第1原発事故後の新規制基準下、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)など3基が再稼働している。

 一度再稼働した後、運転差し止め仮処分決定で停止している関西電力高浜原発4号機(福井県)も、仮処分の取り消しを受けて近く再稼働の予定。さらに3基の再稼働が見込まれる。

 また、運転開始から40年を超す老朽原発の運転延長が昨年3基認められた。

 もっとも政府は計画で、2030年の電力供給に占める原発比率の目標を20〜22%と高く掲げる。実現するためには、廃炉が決まった一部原発を除いて最大限に活用しなければならない。

 だが、核のごみ処分の観点からすると、問題の解決をさらに難しくするだろう。処分場選びの際、処分量は当然考慮されることになろうが、原発が稼働を続ける限り総量のめどが立たない。

 地層処分を担当する原子力発電環境整備機構(NUMO)が昨年盛岡市で開いたセミナーでも、参加者から「再稼働を進めると危険なものがいっぱい増えるのではないか」として原子力関係者間の協議を促す発言があった。

 政府には「マップ」提示の際、核のごみの総量についてどう考えているのかも併せて示してもらいたい。

(2017.5.15)

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