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憲法施行70年 国柄を考える「節目」に


 今日は憲法記念日。敗戦から2年後の1947年に現行憲法が施行されてから、ちょうど70年になる。

 昨年7月の参院選を経て、いわゆる改憲勢力は衆院と並び参院でも3分の2議席を超え、数の上では憲法改正を推し進める環境が整った。「自主憲法制定」は自民党是。安倍晋三首相は、在任中の改憲に意欲を示している。

 政府、与党には施行70年を節目として改憲機運をあおる雰囲気も漂うが、国会の意思だけでは決まらない。発議から60〜180日の間に国民投票を行い、投票総数の過半数の賛成を得る必要がある。

 共同通信の先の世論調査では、改憲を「必要」とする回答が60%に上った。一方で、安倍首相の下での改憲に51%が反対したのが目を引く。

 石川健治東大教授は共同通信加盟社の論説研究会で、歴代政権が否定してきた集団的自衛権の行使に道を開いた2014年7月1日の閣議決定をもって「われわれは歴史的な節目を超えてしまったのではないか」と語った。

 それが国民の意思をどこまで反映しているかが問題だ。閣議決定直後の世論調査で、行使容認への評価は反対が54・4%で過半数。内閣支持率を下げる一方、不支持率は第2次安倍政権下で初の40%台に上昇したものだ。

 「自民1強」は国民の選択ではあるが、白紙委任ではない。個々の政策に異論、反論はあって当然。リーダーシップに名を借りた強権志向は、厳に戒めなければなるまい。

 安倍政権が目指す改憲の本丸は不戦を定めた9条との見方は根強い。衆参両院で昨年11月に相次ぎ再開された憲法審査会で、自民党は与野党協調を重視しつつ改憲項目を絞り込む構え。ひいては国民合意が得やすい項目から改正を進める方針がうかがえる。

 安倍首相にも慎重な物言いが目立つのは「最初の国民投票は失敗できない」との思いがあるからとされる。現実的な課題として改憲を意識し始めた証左だろう。

 「安倍政権下での改憲」に反対する民進党だが、代表代行の立場にあった細野豪志氏が独自の改憲私案を公表するなど、一枚岩とは言えない。

 同党の枝野幸男憲法調査会長は、地方自治の拡充や首相解散権の制限など、テーマによっては議論に応じる姿勢という。国会で、議論自体を避ける空気が薄まりつつあるのは確かなようだ。

 憲法は国柄を映す。国会の改憲発議が現実味を増す中で迎える施行70年は、今を生きる国民が戦後日本の歩みを評価し、どんな国柄でありたいかを自らに問う契機としてある。その意味で、まさにわれわれは「歴史的節目」に立っている。

(2017.5.3)

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