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衆院区割り改定 抜本策を論じてほしい


 「1票の格差」是正を旨とする衆院選挙区の区割り改定で、定数が4から3に減る本県では現3区が解消される。該当区域の9市町は、7市町が現2区に加わり新2区を構成。現4区は一関市と平泉町が加わり新3区となる。

 区割り改定は、本県で山田町が2区から3区に移った2013年の見直し以来。当時は5県で定数1減となり、本県を含む17都県の42選挙区が見直し対象となった。

 今回は、本県や青森など6県で定数1減。区割り調整は計19都道府県の97選挙区に及ぶ。候補擁立を巡る各党の調整は難航必至だが、それより何より気掛かりなのは有権者への影響であり、見直しが人口減に直面する地方を切り捨てる方向で進む現状だ。

 小選挙区の定数配分は20年の国勢調査を基準に、人口比をより正確に反映する「アダムズ方式」に基づき再度見直されることになっている。同方式は人口の少ない地域に有利に働くとも言われるが、首都圏を筆頭に大都市への人口集中が続くなら、地方の定数が減る傾向は変わるまい。

 小選挙区制となって20年余り。この間、投票価値の平等を求める司法の要請に背中を押され、折々に改革機運が高まるものの、出てくるのは単純に人口比で定数を操作する対症療法。市域が分割される自治体も多く、早くも見直しを求める声が上がる。

 司法の顔色をうかがうばかりで地方の懸念に真剣に向き合ってこなかったのは、立法府たる国会の怠慢だ。その結果、本県の新2区は県域の3分の2近くに広がった。

 沿岸域は南部を中心に震災復興も道半ば。北部や西部もそれぞれに課題を抱える本州一広い選挙区で、地域の声が国政に届きにくくなる懸念は嫌でも高まる。

 国政と地方を問わず、全国的に選挙の投票率低下が課題視される現状で、選挙区変更が政治離れを加速させては本末転倒。昨夏の参院選で隣県同士が「合区」とされた地域の投票率が極めて低かったのは、ある意味で有権者の意思表示ではないか。

 投票価値の平等は憲法の要請に違いないが、選挙制度の設計では国会の裁量を認めているのも憲法だ。人口に応じた数合わせだけが立法府の責任と考えるなら、それこそ地方軽視の発想だろう。

 「1票の平等」と「人口減少地域の声」の両立は至難ではあっても、その努力を怠ったツケが地方の存在感を脅かす現状は看過できない。

 問題は統治機構の在り方に関わって、衆参両院が個別に改革を論じる現状には限界感が否めない。現行の選挙制度や二院制への評価を含め、抜本改革へ衆参の枠を取り払った深い議論を望みたい。

(2017.4.21)

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