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PKO撤収 不信感が増すばかりだ


 やはり、安保関連法に基づく「駆け付け警護」の新任務を付与する実績づくりが目的だったのか。

 政府は、南スーダンに派遣している陸上自衛隊の国連平和維持活動(PKO)部隊を5月末をめどに撤収させる方針を決めた。

 この問題をめぐる一連の経緯を見ると、派遣延長と新任務付与の政府判断への疑問が膨らむ。

 まず、安倍晋三首相の発言だ。撤収の理由は「(首都)ジュバの施設整備に一定の区切りがついた」とした上で、撤収は昨年9月から検討していたと説明した。

 施設整備というPKO部隊の本来任務を理由に挙げるなら、なぜ新任務を11次隊に付与する必要があったのか。しかも、撤収を検討している昨年11月に部隊を派遣した。これほど矛盾した話はない。

 首相は「治安悪化が原因ではない」と繰り返すが、現地の情勢が安定しているなら、南スーダンのために行うべきインフラ整備はまだまだ多いはずだ。

 武器使用を伴う「駆け付け警護」は自衛隊のリスクが高まる。唐突な撤収決定は、現地の情勢が政府の説明とは懸け離れていることを示しているのではないか。

 それを裏付けるのが、存在が明らかになったPKO部隊の「日報」だ。

 「戦闘」「攻撃」「砲弾落下」などの生々しい言葉が並び、ジュバで起きた大規模な戦闘に部隊が巻き込まれる危険性を指摘していた。

 にもかかわらず、政権はその実態を国民に知らせてこなかったと言われても仕方がない。「(戦闘行為が)行われたとすれば憲法9条の問題になるので、武力衝突という言葉を使っている」。稲田朋美防衛相の発言は語るに落ちたというべきだろう。

 11次隊は東北の部隊。陸自岩手駐屯地からも約30人が派遣されている。引き揚げ自体は歓迎するが、派遣が実績づくりのために行われたとすれば腹立たしい限りだ。

 日報をめぐっては、新たな「隠蔽(いんぺい)」も明らかになった。当初、電子データが「発見」された防衛省統合幕僚監部以外に陸自も保管していたことが明らかになった。しかも、統幕幹部が非公表とするよう指示していたという。

 国民への重大な裏切りだ。文民統制の危機であるとともに、それ以上に深刻なのは政権にも防衛省にも同じような思惑が働いたことだ。「派遣ありき」のために、共通して不都合な情報を隠そうとした疑いを捨てきれない。

 稲田防衛相は特別防衛監察を指示したが、それだけで国民の不信感を払拭できるとは思えない。政府判断の徹底検証こそ欠かせない。

(2017.3.20)

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