WWW http://www.iwate-np.co.jp

天皇退位で国会見解 「総意」さらに磨かねば


 17日は「日本国民の総意」へ一歩進んだ日として記憶されることになるだろう。

 天皇陛下の退位をめぐる法整備について、与野党が最終合意し、国会としての見解をまとめた。陛下一代に限り退位を可能にする特例法が望ましいという内容で安倍晋三首相に伝達した。

 特例法か、皇室典範の抜本改正か。与野党で割れていた難題に現実的に折り合いを付けたということだろう。ご高齢となった陛下の退位時期は2018年と受け止められており、時間の壁もにらんだ選択となった。

 国会見解を受けて政府の有識者会議は、退位後の呼称など残された問題の議論を再開し、4月下旬にも最終案を決定。政府は5月の大型連休明けにも法案提出を目指す。

 退位自体には異論はなかったが、合意までの道のりは平たんではなかった。

 自民、公明両党は天皇の意思を退位の要件にすれば違憲の疑いがあると主張。一方、民進、共産など野党は、特例法では皇位継承は皇室典範で定めるとする憲法に合致しない恐れがあるとした。

 与野党が互いに憲法上の疑義を主張した難題を解決するために、見解案では法律名を「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」と提示した。

 いわば、皇室典範改正と一体のものとして特例法を位置づけた形。これによって、将来の天皇退位の先例になるという考え方だ。この折衷案に国会の知恵を発揮したということになろう。

 ただし、今回は「国会の総意」でしかないことも自覚すべきだ。共同通信社が今月実施した世論調査では、皇室典範の改正で全ての天皇に適用することを支持する意見が63・8%と圧倒的に多く、政府方針の一代限りの特例法支持は27・6%にとどまる。

 憲法が皇位について求める「国民の総意」には、なお隔たりがあるとみるべきだ。国民は現在の陛下の公務の大変さに気づき、お体を案じると同時に、象徴天皇の在り方を考え始めた。

 突き詰めれば、皇室継承の安定化の問題でもある。国会見解では、「女性宮家」創設なども特例法の施行後に政府が速やかに検討する共通認識をうたった。

 しかし、検討結果を国会に報告する期限となると「明示は困難」「1年をめど」という両論併記。各党派の協議にゆだねることにしたが、先行きは不透明だ。

 陛下は昨年8月のお気持ち表明で「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくこと」をひとえに念じると強調された。

 国民もそれを望んでいる。先送りでは今回の合意が色あせてしまうだろう。

(2017.3.18)

     論説トップへ戻る

   
トップへ