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閣僚の資質 政権の「おごり」を疑う


 大阪市の学校法人「森友学園」との関係で、稲田朋美防衛相が発言を二転、三転させているのは、問題をぼかす高等戦術ではないか。そう疑いたくなるほどに、氏の国会答弁はいたずらに混乱を大きくしているように思われる。

 学園との関係を否定した答弁を「記憶違いだった」と訂正、謝罪したが「虚偽ではない」との釈明には、野党ならずとも首をひねりたくなる。

 言うまでもなく、疑惑の核心は学園が小学校建設のため国有地を取得する際、破格の扱いを受けた経緯だ。

 加えて学園側には、国に対して事業費を水増し申告して補助金を不正受給していた疑いもある。逆に大阪府には過小申告して財務状況をごまかしたとされる。疑惑の解明が進まないまま、ここのところ国会は稲田氏の問題に随分と時間が割かれている。

 学園は府への設置認可の申請を取り下げ、国は土地の買い戻しに動き始めた。自民党内には幕引きムードも漂うという。本質論を自らの問題で妨げる氏の責任は重い。

 折しも14日には、衆院で日米物品役務相互提供協定(ACSA)改定の承認案が審議入りした。安全保障関連法に基づき物品や輸送、修理などの役務提供による米軍への後方支援を拡大する内容。安保法そのものに反対する野党側の抵抗は必至だ。

 南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に関する答弁では、部隊の日報にある「戦闘」を「武力衝突」と言い換えた理由を、海外での武力行使を禁じる憲法9条に抵触しかねないためと説明した。

 事実を曲げて憲法との整合性を図る発想は本末転倒。その後、政府は部隊の撤収方針を明らかにした。前々から決めていたというが、現地の実情が稲田氏自身の「危うさ」と重なってしまう。

 稲田氏の防衛相就任は抜てき人事だが、それは経験不足と裏合わせだ。トランプ米政権の下で日米同盟の先行きが見えづらい中、北朝鮮の過激な動きや膨張政策の手を緩めない中国など、周辺情勢は不穏な空気が渦巻く。稲田氏が国会で立ち往生する姿は、庶民はもとより安全保障の最前線を不安にするだろう。

 政府は、週明けにも「共謀罪」法案を閣議決定する方針だが、ここでも担当閣僚がしばしば答弁に窮し、野党の反発を増幅させている。共同通信の1月時点の世論調査では賛成が反対を約2ポイント上回ったが、3月調査では逆に反対が賛成を12ポイント以上も上回った。

 閣僚の資質の問題に関わって、このまま成立に走るのを国民の大勢は望まないということでもあるだろう。またも数で押し切ろうとする姿勢が透けては、もはや「おごり」以外の何ものでもない。

(2017.3.17)

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