WWW http://www.iwate-np.co.jp

豪雪災害 心配な「抵抗力」の低下


 6年前の「平成18年豪雪」以来の大雪と寒波が日本列島を襲っている。日本海側の山間部では積雪が3〜4メートルに達し、各地で日常生活が脅かされる事態となっている。

 雪による事故の死者は60人に迫る。犠牲者が200人を超えた1963年の「昭和38年豪雪」、150人を超えた「平成18年豪雪」は下回っているが、異常なペースであることは間違いない。

 秋田県の玉川温泉では岩盤浴をしていた宿泊客が雪崩に巻き込まれ3人が死亡した。青森県・下北半島では吹雪の国道で数百台に上る車が立ち往生し、多くの人が近くの小学校などに避難した。

 新潟県の山間部には「雪掘り」という言葉がある。家が埋まるほどの深い雪と格闘するには、「雪かき」という表現では間に合わない。

 死者が出た事故の大半が屋根の雪下ろし中に転落するなど除雪中に起きたことは、その過酷さを象徴している。さらに深刻なのは、犠牲者の7割が65歳以上の高齢者で占められていることだ。

 越後塩沢の人鈴木牧之は、「北越雪譜」で、大家(富んだ家)では人を雇って一気に掘り尽くすが、貧しい家では費用がかかるので一家で雪を掘る−と、江戸末期の雪掘りを記している。

 今はこの時代よりも地域の抵抗力が落ちているのではないか。高齢化と過疎化が進んで家にはお年寄りしか残っていない。除雪してもまた降る雪に、住民の心身の疲労はピークに達している。

 生活が変わって備蓄する家庭が少なくなった影響も大きい。食料は買い物に出なければ手に入らない。燃料は配達に頼らざるを得ない。道路が寸断されれば集落は孤立し、命の不安さえある。雪害の深刻さは、こうした地域を直撃していることだ。

 政府は2日、関係閣僚会議を開き、道路やライフラインの確保、住民の生活支援に万全を期すことを決めた。除雪費が底を突いた自治体も出ている。国の財政支援も必要だろう。

 地域の防災力も高めたい。西和賀地方は県内有数の豪雪地帯。昨冬に続く豪雪で湯田の積雪は2メートル近い。この中で300人近くが登録する雪かきボランティア・スノーバスターズが活躍している。

 県内各地にスノーバスターズがある。除雪は高齢者の見守り活動も兼ねており、高齢化社会の地域づくりを支える仕組みにもなる。蓄えた「共助」の力は豪雪に限らず、いざというときの力強い備えになるはずだ。

 立春を迎えたとはいえ、北国の寒さはまだまだ厳しく、雪との闘いもさらに続く。油断せずに雪の季節を乗り越えたい。

(2012.2.4)

     論説トップへ戻る

トップへ