みそがうまさのミソ
めんと肉みそがよく合って
おいしいじゃじゃ麺

 盛岡名物じゃじゃ麺は、ゆでた平うどんに「じゃじゃみそ」という特製の肉みそやキュウリ、おろしショウガ、それにお好みで酢やラー油などをからめて食べる独特の麺。初めて食べて「うまい!」という人はそれほど多くない、ともいわれます。しかし2度、3度と続けて食べていくうちになぜかとりこになっていく。そんなおいしさです。

 麺を食べたあとの器に生卵をとき、麺のゆで汁を注いでもらい、塩やコショウなどで適当に味を調えると「鶏蛋湯(チータンタン=略称チータン)」というたまごスープの出来上がり。これを飲まないと、じゃじゃ麺を食べたことにならない、という人もいます。

 じゃじゃ麺のうまさのミソは、やはり「みそ」。麺そのものには大きな違いがなく、みそに店の個性が表れます。みそにすりつぶした肉や野菜、さまざまな調味料を加えてつくるのですが、作り方はそれぞれの”企業秘密”。複数の店を巡って、それぞれ味わうのも楽しいでしょう。ほとんどの店が宅配便で地方発送もしているので、最近は家庭で手軽にじゃじゃ麺を味わうこともできるようになりました。

 中国東北部から"輸入"

 盛岡の「隠れた名物」だったじゃじゃ麺の知名度が高まったのはここ2、3年。それにつれて盛岡市内のじゃじゃ麺店も増え、観光パンフレット片手にじゃじゃ麺店に出入りする観光客の姿もよく見受けられるようになりました。
じゃじゃ麺の仕上げに
飲むスープ、チータン

 歴史は意外に古く、半世紀に及びます。元祖は盛岡市内丸(うちまる)の桜山神社そばに本店を構える「白龍(パイロン)」の創業者高階貫勝(たかしな・かんしょう)さん=1991年、82歳で死去。岩手県南部の東山町出身の高階さんは第二次大戦前に中国東北部(旧満州)に移住。昭和20年代半ばごろに奥さんの出身地盛岡に引き揚げ、1、2年ほど手作りギョーザの屋台をやっていたそうです。

 高階さんは中国で食べた「ジャージャー麺」の味が忘れられなかったのか、ギョーザの皮を作った残りの粉で麺を打ち、みそを作り、屋台の客にじゃじゃ麺を出してみる。これが盛岡のじゃじゃ麺の始まり。昭和28年ごろのことといいます。高階さんが最も苦心したのがみそ作り。中国からの引き揚げ者の客からは「中国の味と違う」などと言われ、作ったみそを捨てたこともあったようです。しかし盛岡で店をやっていくためには、多くの人に受け入れられる味をつくらなければならない。「それが一番たいへんだったようだ」と長女の岑子さんは振り返ります。

 味では本家をしのぐ

 本家の中国東北部では、ジャージャー麺は家庭料理なそうです。「盛岡じゃじゃめん」会長の玉沢繁行さんによると、同地方はみその原料である大豆と、うどんの原料の小麦の大産地。保存食のみそにあり合わせの野菜を刻んでぶち込み、うどんと混ぜて食べる。忙しい農家の主婦にとって、手がかからず、栄養があり、満腹感が味わえて胃にもたれない。まさに「一石三鳥」の家庭料理というわけです。盛岡のじゃじゃ麺を食べた中国の人が「こんなおいしいジャージャー麺を初めて食べた」と言ったそうで、おいしさでは本家より盛岡に軍配が上がるようです。

 じゃじゃ麺を漢字で書くと「炒醤麺」。「炒醤」は「みそをいためる」という意味です。ちなみに「炸醤麺」という字をあてているケースもありますが、玉沢さんによると、これは「ザジャーメン」という別物。中国南部の沿岸地方で食べられる中華麺の一種で、熱くて非常に辛い、いためみそをかけて食べるものなそうです。


 じゃじゃ麺の食べ方

 初めての人は、じゃじゃ麺の食べ方にちょっと戸惑うかもしれません。一言でいうと、麺と肉みそをよくかき混ぜること、あとは調味料などで適当に自分の味をみつけていくことです。じゃじゃ麺の一般的な食べ方を紹介します。

@好みに応じて酢を入れます。 A同じくニンニクを入れます。 B同じくラー油を入れます。
C添えたおろしショウガも入れてよくかき混ぜ、いただきます。 D食べ終わったら器に卵を割り入れます。具を少々残すのがよいとも。 E卵をといて、お店の人に「チータンお願いします」と声をかけます。
Fゆで汁をついでもらい、できたチータンを塩、コショウで味をととえのます。 Gチータンも飲んで、じゃじゃ麺を食べ終わりました。





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