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第1部 異変 C北海道ルポ

不漁傾向、同時期から
2017年11月20日

 11月に入り真冬のような寒気が包む北の漁港では、朝日に照らされながら秋サケの水揚げが行われていた。

 日本一の秋サケ産地、北海道道東の太平洋岸に位置する釧路町の昆布森(こんぶもり)漁港。水産基地の釧路市に隣接しながら文字通り昆布漁と秋サケが主体という小さな港だ。例年、この時季は「サケ定置」の漁船が列を作り浜に活気が出る。

朝日を浴びながら水揚げされる秋サケ。歴史的不漁に漁業者の表情は一様に硬い=北海道釧路町・昆布森漁港

 だがこの日は、水揚げも早々に終了。関係者の表情は曇りきっていた。

 「20年やっているけどこんなの初めて」と語るのは定置網を経営する前田祐二さん(48)だ。「値段が高いから何とかやっているが、これ以上続いたら倒産してしまう」

 本県より早く既に終盤に入った北海道の水揚げは、10日現在で約5万トンと、記録的不漁と言われた昨年の33%減。「凶漁」と呼ばれる歴史的不漁だ。特に同漁港が位置する「えりも以東」地区は前年比68%減と道内で最も落ち込んでいる。

 9月1日からスタートした漁は当初から振るわず、入るのは南方系のブリばかり。10月には早くも採卵用の親魚確保のために、網を撤去し川に遡上(そじょう)させる漁業者も出始めた。前田さんも漁期は今月20日までだが、水揚げは週2、3日だけ。「燃料をかけてまで漁をやっていられない」という。

 昆布森漁協業務部の金(こん)英司部長は「そもそも魚がいないんじゃどうにもならない」と嘆く。同漁協の漁獲量は10日現在で149トンと昨年の約半分で、10年前と比べると10分の1。「それにしても三陸と同じ時期から落ち込んでいる気がする。震災の影響もないのにおかしいんだ」

 実際、えりも以東で漁獲量が一気に半減し、減少傾向が始まったのは震災前年の2010年。1999年に次ぐ本県の2度目の大幅下落時期とぴったり一致する。翌年発生した震災の影響で稚魚の放流数が減少し、不漁傾向が強まった本県に対し、放流数を維持する北海道で同じような不漁傾向が続くのは、関係者も疑問を抱かざるを得ない。

 ブリに加えイワシやサバなどこれまで取れなかった魚が網に入るようになったという同地区。一方で、ここ何年も来なかった流氷が今年は3月に接岸し昆布に大被害も出た。金部長は「気候が何かおかしくなっている」と語る。

 北海道沿岸を北上して北洋に出て、北海道を通って回帰する三陸のサケ。同じ太平洋岸で起きる歴史的な凶漁に、本番を迎えた本県の漁への不安がさらに増した。

北海道の秋サケ漁 北海道区水産研究所によると、毎年約10億匹の稚魚を放流。漁獲量は2004年度の6049万匹をピークに4千万匹前後で推移し、16年度は2578万匹(前年度比30%減)に下落した。本年度は終盤の今月10日現在で1530万匹(前年同期比33%減)。本県は通常の放流匹数4億匹、16年度の漁獲量は292万匹。北海道と本県を合わせて全国の漁獲量の90%以上を占める。


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