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特集 国会議員アンケート

信頼ある報道機関に

 法政大准教授・藤城氏に聞く

2017年6月21日

 災害時に繰り返されるメディアスクラム(集団的過熱取材)を防ぎ、報道機関はどう信頼を保つべきか。新聞記者として取材経験のある法政大社会学部の藤代裕之准教授(ジャーナリズム論)に聞いた。

 災害や事件事故のたびに、報道機関による乱暴な取材がまかり通っている。このため、行政当局は「氏名を公表することでメディアスクラムが起こり、苦情が寄せられる」というサイクルを恐れ、非公表に傾いている。

 安否確認の公共性から、災害時に氏名を公表する意義は大きい。しかし、報道機関は公表された情報を利用して何をやってきたかを省みてほしい。「出したらもめる」と個人情報を共有する信頼度がないと思われていることは、深刻な問題と受け止めるべきだ。

 新聞社を例に挙げると、災害発生時に取材を指示するデスクの頭の中には、1面と社会面で展開し、遺族雑感を入れる−などというテンプレート(ひな型)がある。記者は時間との闘いを迫られ、雑にならざるを得ない。遺族に対しても全国から取材陣が押し寄せ、数日後には潮が引くようにいなくなる。

 一度報じれば終わりという既報主義も問題だ。誰もが生きてきた証しを残したい思いがあるのではないか。被害者の氏名が非公表とされた昨年の相模原市の知的障害者施設殺傷事件では、NHKが遺族らに丁寧に当たり、特設サイトで人となりを伝えている。

 その意味では、現場で丁寧な取材ができる地方紙にも可能性がある。その土地に暮らしている記者が遺族と向き合い、何が問題だったか、どのような気持ちを持ったかを聞き、犠牲者の人生を明らかにする。丁寧さが遺族の心を開き、報道機関の信頼を取り戻す鍵になると思う。

 個人情報保護法制を見ても、法整備はできている。災害時に新聞社など報道機関が信頼でき、大事な役割を果たしていると認識されれば、自治体側も安心して情報を預けるだろう。報道機関は自治体に公表を要請しつつ、社会のコンセンサス(合意)を得られる努力を欠かしてはならない。

(談)



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