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東京・神戸・高知 本紙1000人調査

公表で混乱最小限に

 山村武彦氏(防災システム研究所所長)

2017年5月6日

 大規模災害時の氏名公表を求める傾向が明らかとなった全国3地区の意識調査。防災・危機管理アドバイザーとして啓発を続ける防災システム研究所(東京都)の山村武彦所長に結果の受け止めと安否情報の在り方を聞いた。

 災害時に行方不明者の情報を公表する目的は混乱や不安感を最小限に抑えるためにある。被災当初は二次災害の恐れがある中で捜索隊も活動しており、氏名が公表されることで無事な人が名乗り出て、捜索対象の絞り込みや効率のアップにつながる。

 2014年8月の広島市の土砂災害では、行方不明者の氏名が公表されたのは5日後だった。当局の調整や家族に確認した上での対応だったが、生存率が急激に低下する72時間を経過していた。個人情報保護法に明記された「第三者への情報提供」は「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」と規定されており、原則として早い段階で情報開示すべきだ。

 行方不明者の氏名公表については3地区とも7〜8割が公表を求めている。個人情報を公表することでクレームを寄せる人もいる。その声が大きく伝わってしまう傾向もあるが、調査結果は正常な判断だと受け止める。

 05年4月のJR福知山線(兵庫県尼崎市)の脱線事故は、個人情報保護法の施行直後で、病院に搬送された人の情報が開示されない異常な対応が見られた。行政当局には個人情報を公表することによるクレームやトラブルに巻き込まれたくないという考え方があり、今も部分的に過剰反応は続いている。

 しかし、危機管理では「結果の重大性」が問われる。失ったら取り返しがつかないことを優先するという意味で、命と時間が該当する。時間とはタイミングとも言え、当局は行方不明の情報が寄せられた時点で公表すべきだ。

 また、安否情報は「否」だけでなく「安」の情報を出すことも非常に重要だ。その意味から避難者名簿の公表でいずれの地域も9割以上が公表を望んだことは当然の結果だ。

 避難者は自身の情報を広く家族・親戚・知人に知らせたい。東日本大震災の直後、避難所で自分の無事を伝えてほしいという人に多く出会った。個人による情報発信は難しく、余震など二次災害の恐れがある中で避難所を回ることが困難な人もいる。メディアを通じて公開してほしいという思いが出ている。

 首都直下地震や南海トラフ巨大地震が懸念される中、住民の多くは災害時の安否情報に対して公表を望んでいるという方向性が示された。行政はこれを警鐘として、条例やマニュアルの整備、大規模災害の発生当初に適切な判断をできる人材育成につなげてほしい。

 (談)

【写真=「災害時の混乱や不安感を最小限に抑えるため、国や地方自治体は安否情報の公表に向けた取り組みを進めてもらいたい」と強調する山村武彦氏】



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