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東京・神戸・高知 本紙1000人調査

避難者名「公表を」9割

 東日本大震災遺族アンケート、「安否分からず」最多

2017年5月6日

 大規模災害時の安否情報の在り方をテーマにした本紙連載企画「あなたの証し 匿名社会と防災」の一環で、岩手日報社は東京都、神戸市、高知県の住民計千人を対象に直接面談調査を行った。避難した場合に「避難者名簿」などの形で氏名公表を望む人が3地区とも90%超、行方不明者の氏名公表も東京と高知は80%超、神戸も72・3%に上ることが分かった。近年の自然災害では個人情報保護法制などを理由に行政当局による「匿名化」が拡大傾向にあるが、命に関わる非常時は「実名公表」を望む民意が圧倒的多数を占めた。

 調査地区は、首都直下地震が懸念される東京、阪神大震災(1995年1月)を経験した神戸、南海トラフ巨大地震の津波対策を進める高知を選定。東日本大震災では本県の避難所で避難者名簿が張り出され、安否確認に大きな役割を果たした教訓から他県の動向を探ろうと、東京500人、神戸300人、高知200人に調査した。

 大規模災害時に避難所などに避難した場合、避難者名簿などの形で氏名公表すべきかどうかについて「公表してほしい」が東京77・0%、神戸74・7%、高知83・0%。「どちらかといえば公表してほしい」は東京16・2%、神戸16・0%、高知8・5%となり、合計すると「公表」は3地区とも90%を超えた。

 神戸市西区の会社員山下裕史さん(43)は「阪神大震災の時は誰がどこに避難しているか分からなかった。避難者情報を発信することで、安否が明らかになり、効率的に動ける」と過去の教訓から積極的公表を望む。

 行方不明者の氏名公表については「公表してほしい」が東京60・6%、神戸47・3%、高知63・0%。「どちらかといえば公表してほしい」は東京23・8%、神戸25・0%、高知19・5%。「公表」を望む人は合計して東京と高知が80%、神戸で70%を超えた。

 行方不明者の氏名公表を望む理由として「安否確認や捜索に役立つ」という声が多かったが、プライバシーへの配慮などから非公表を望む声もあった。神戸では被災経験から家族の意向を尊重する向きもあった。

 東京都足立区の運送業谷部佳明さん(50)は「災害時に優先すべきは命だ。行方不明者の氏名は捜している人たちのためにも公表してほしい」と求める。一方、東京都練馬区の自営業江村健二さん(58)は「東京で大規模災害があれば、何万人と行方不明者が出ると予想される。それだけ膨大な個人情報を全国に公表する必要はない」と否定的だ。

 東日本大震災後に改正された災害対策基本法では被災者台帳の作成や安否情報の照会についての規定が加えられたが、避難者や行方不明者の氏名公表は自治体の判断に委ねられている。

 高知県安芸市の団体役員近藤秀夫さん(82)は「災害時の安否情報は助け合うためにも必要。情報公開について特別な法律や制度をつくるべき」と強調する。

 【調査方法】東京都、神戸市、高知県の3地区で高校生以上の計千人(男性498人、女性502人)を対象に実施。3月19日〜4月13日に岩手日報社の記者が直接面談方式で行った。内訳は東京500人(男性254人、女性246人)、神戸300人(男性151人、女性149人)、高知200人(男性93人、女性107人)。3地区ともに60代以下が約8割、70代以上が約2割で、回答した最年少は16歳、最年長は94歳。質問は▽避難所に避難した場合、「避難者名簿」のような形で氏名を公表してほしいか▽行方不明者の氏名を公表してほしいか▽氏名が公表されない「匿名化」の懸念▽氏名が公表された場合の懸念―の4項目とそれぞれの理由を聞いた。



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