新聞購読のご案内広告料金携帯サイト    
トップ スポーツ 経 済 暮らし・文化 世界遺産 選 挙 啄木・賢治 防 災 企画・特集 お買い物
訃報     風土計[コラム]     論説     社告     電子号外   
 Web サイト内

第4部 実名の価値・特集

市民の受け止め

 安否知るため「当然」日本との違い鮮明

2017年4月14日

 2005年8月29日に米国ルイジアナ州に上陸したハリケーン「カトリーナ」。12年が経過したニューオーリンズは全米から観光客を集める一方、被災の爪痕を残す街並みが混在する。大規模災害を経験した市民には、行方不明者の氏名公表を「当然」と受け止める意識が根付いていた。

 「家族はどこに」。8割が浸水した市街地に取り残された10万人。そして南部各州に広域避難した200万人。彼らにとって安否は最も大事な情報の一つだった。

 「行方不明者の氏名は隠すようなものではない。情報公開を求めることは米国ではごく普通の考え」。市近郊ポイドラスの自宅が3メートル浸水し、テキサス州に広域避難した会社員シャロン・ペッパーマンさん(68)は強調する。

 当時、州に届け出のあった行方不明者は1万3197件に上った。「氏名公表は所在を突き止めるためにある」と地元のタイムズ・ピカユーン紙をはじめ、テレビやラジオも死者や行方不明者の情報を発信。最終的に1万746人の生存が確認された。

 最も被害規模の大きかった下第9区で自宅を再建したセレスティン・アンダーソンさん(73)は「カトリーナで名前が出る大切さを実感した」、地元のロヨラ大法科大学院教授の楠田弘子弁護士(55)=長崎市出身=も「誰もが安否確認のため情報を積極的に公表してほしいという考えが強かった」と振り返る。

 米国では大規模災害時、個人のプライバシーより公共の利益が上回る。ペッパーマンさんは「もし自分の家族が行方不明になったら、絶対に氏名を公表して情報提供を頼む」とも語る。家族の意向や個人情報保護を理由に行政が氏名を非公表とする日本国内との相違は鮮明だった。

(報道部・八重樫和孝)

【写真=最も被害規模が大きかった市東部の下第9区。空き地が広がり住民が戻らない廃屋も点在する=米国・ニューオーリンズ】



[PR]

 岩手のニュース


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます。
岩手日報社 Copyright(c)2017, IWATE NIPPO CO.,LTD. All rights reserved