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第4部 実名の価値・特集

公共のため欠かせない

 ジャーナリストに聞く − ジェームズ・オバーン氏(ノラメディアグループ前副社長)

2017年4月14日

 大規模災害時は「誰が生きていて、誰が亡くなったか」を知りたいというニーズが生まれる。日本で行方不明者の氏名が公表されないことは、米国の対応とは全く逆で深刻な問題だ。

 災害当初に行方不明者の氏名を公表する目的は所在を突き止めるためだ。混乱の時は必ずしも亡くなったとは限らず、氏名が公表されれば情報が寄せられることが期待できる。

 2005年8月のハリケーン「カトリーナ」で被災した時、私たちは死者や行方不明者のリストを作成し、ネットで毎日情報を更新した。行政当局も、堤防の決壊や排水ポンプが稼働しなかった「恥さらし」のような出来事があったにもかかわらず、行方不明者の氏名を公表した。

 行方不明者の氏名は一般に公開される公共の情報であって、当局が独り占めしてはいけないという考え方がある。背景として、合衆国憲法修正第1条によって言論の自由が保障されているほか、情報にアクセスする権利が保護されていることも大きい。

 日本のように行方不明者の氏名が非公表とされても、私たちは新聞社として家族やソーシャルメディア(フェイスブックやツイッター)の情報を基に行方不明者リストを作成する。行方不明になってそのまま公表しないことはきっと大きな反感を呼ぶし、その人を2度殺したようなものだ。

 米国の新聞社は災害やテロの大きな悲劇があった場合、犠牲者の氏名を載せるだけではなく、人となりを紹介する。01年の米中枢同時テロのニューヨーク・タイムズ紙の犠牲者報道も意義深い。そうすることで、いかに大きな悲劇であったかを伝えることができる。

 カトリーナの影響は非常に大きく、ニューオーリンズから避難したまま亡くなり、帰ってこられなかった人もいる。多くの悲しみがあったが、遺族の話を聞き、人生を紹介する。それが報道機関の使命であり、公共のために欠かせない。

(談)

【写真=「行方不明者の氏名公表は公共のために欠かせない」と強調するジェームズ・オバーン氏=米国・ニューオーリンズのタイムズ・ピカユーン社】



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