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第4部 実名の価値・特集

「命の情報」伝えるべき

 ジャーナリストに聞く − リッチ素子氏(NYタイムズ東京支局長)

2017年4月14日

 悲惨な事故、事件、テロなどが起きた場合、なるべく犠牲者の家族に会い、犠牲になった方の話を聞くようにしている。自然災害の場合も貴重な人材が失われたと伝えるために名前についても取材する。

 犠牲者が「顔のない、誰か分からない人」ではなく、一人の人間が亡くなることによって家族や知人がどんな影響を受けるのかということを人々に広く伝える必要があるからだ。

 2001年9月11日に発生した米中枢同時テロ後、ニューヨーク・タイムズ紙は特別プロジェクトを組んで犠牲者報道に対応した。当時、私はウォールストリート・ジャーナルに勤めていたが、家族や知人などにインタビューし、犠牲者一人一人についての話を取材していた。

 米国で実名報道は新聞もテレビもウェブでも一般的。政府や警察、自治体など当局から発表される。例外として性犯罪の犠牲になった子どもは氏名を出さないこともある。他の犯罪でも犠牲者が子どもの場合、家族に公表の確認をするが「どんな人が犠牲になったのか世の中に知ってほしい」と同意することが多い。

 東京支局に着任後、相模原市の障害者施設殺傷事件を取材した。犠牲者の家族らに話を聞き、実名非公表が遺族らの総意かどうかというのは懐疑的に見ている。日本のメディアは犠牲者についてあまり伝えない傾向があるのではないか。失われた命の情報が少ないのはどうなのかと思う。

 私たちの役割は読者の目となり、耳となり、何が起きたのか、何が問題なのか伝えることだ。

 東日本大震災の行方不明者は今なお多くいる。本人にとっても家族にとっても悲劇だ。自然災害の行方不明者の氏名公表について、決定を下すのは捜査当局ではなくてその家族だと思うが、氏名が公表されていないのは悲しむべきこと。確かに地球上に存在していた、生きていたと伝える必要があると思う。

(談)

【写真=「顔のない犠牲者にせず、確かに生きていたことを伝える必要がある」と実名報道の意義を語るリッチ素子氏=ニューヨーク・タイムズ東京支局】



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