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第3部 見過ごされる名前・特集

考える余裕なかった

 大槌の兼沢さん

2017年3月7日

 「名前の公表、非公表を考えるような余裕はなかった。わずかでも希望を持っていたので、震災直後は公表しないことを選択したと思う」。母幸子さん=当時(53)=が行方不明の大槌町大槌の会社員兼沢幸男さん(32)は吐露する。

 東日本大震災時、仕事で県外にいた幸男さんが、同町に戻ることができたのは発災5日目。自宅は内陸にあり、津波の心配はない。だが、幸子さんの姿はなかった。「母を捜しているときは正直、誰とも話したくなかった」。どこに行ってもマスコミの姿がある状況も、その思いを強くした。

 身内で葬儀を済ませ、震災から半年ほどたった頃。県外にいる幸子さんの友人から、震災後の体調や生活を気遣う手紙が届いた。「母のことをどのように伝えればいいのか」。幸男さんは悩みながら、その友人に電話で状況を伝えた。

 行方不明者の氏名公表は家族の判断を最優先にすべきだと考えている。ただ、今は震災直後と違う思いもある。「母が犠牲になったことを知らない方がいるなら、伝えたいと思う」

【写真=「公表、非公表を考えるような余裕はなかった」と震災直後の心境を振り返る兼沢幸男さん=大槌町大槌】



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