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第2部 命の名簿・特集

地元メディアの発信重要

 福田 充教授(日大危機管理学部)

2017年2月7日

 安否情報の発信や避難者名簿の公表、地元メディアが果たす役割などについて、日本大危機管理学部の福田充教授(危機管理学)に聞いた。

 災害時に人々が知りたい情報は家族や知人の安否だ。関東大震災(1923=大正12年)の際も公園や役所などに人捜しの紙が張られたように昔からある問題。メディアの進化とともに、災害のたびに課題が浮かび上がった。

 阪神大震災ではNHKが教育放送で安否情報を長時間流し続けた。画期的で効果があった一方で、時間の経過とともに情報が流れて消えるフロー型メディアなので、自分が知りたい人を確認するにはずっと見ておく必要がある。適してないとの議論もあった。

 東日本大震災時はインターネット、携帯電話が普及し、ソーシャルメディアの可能性が指摘されたが、通信が回復するまでは、被災地から発信できるメディアとしては機能しなかった。

 災害時には、被災地で活躍するのは新聞やラジオなどアナログなメディアだ。通信機能に依存せず、直接コミュニティーの中で安否を確認し、情報を収集する。その安否情報の集約を誰が担うかが重要だ。

 情報化社会の中で価値観は日々変わる。情報公開の可能性はメディア、研究者、自治体などが議論すべきだろう。どこまで情報を公表できるかが課題で、DV(ドメスティックバイオレンス)やストーカーなどの問題を抱え、個人情報を特に保護しなければいけない対象をいかに把握するか。

 大災害やテロ、北朝鮮のミサイル飛来など危機事態は起こり得る。その中で、人々の生命、安全安心と人権のバランスは守らなければいけない。欧米であれば非常事態宣言などがあるが、日本はない。平常時と同じ法制度で、対策するのは制約が大きい。緊急事態の法制度が整備されれば、個人の安否情報や行方不明者の公表も、より良い形を模索できるのではないか。

 災害時の実名報道は、誰が災害対策をするのかによる。自助、隣近所で助け合う互助、コミュニティーで助け合う共助、公助がある中で、今後は自助、互助、共助をもとにした防災対策の強化が必要。互助や共助においては顔が見えるつながり、互いの名前などの情報が大事になる。実名報道には当然、ルールやメディア側のリテラシー(識別・判断能力)も重要だ。

 メディアには市民が合意形成すべき争点を提言できる機能がある。メディアが報道すると、人々の意識に潜在化していたものが顕在化する。地元メディアが密着した情報を伝えることはもちろん重要だが、問題を提言し、それを一緒に解決していくための場を提供していくことが求められるだろう。

(談)

【写真=「互助、共助をもとにした防災対策では顔が見えるつながり、互いの名前などの情報が大事になる」と強調する福田充教授】



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