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第1部 安否を伝える・特集

不利益のリスク考慮

 関東・東北豪雨(2015年)茨城・常総市−非公表

2017年1月8日

 2015年9月の関東・東北豪雨で鬼怒川の堤防が決壊し、大規模な被害が出た茨城県常総市は、「連絡が取れない人」の氏名を公表せず、安否の確認に発災から5日を要した。市は個人情報保護を非公表の理由としたが、市民や報道機関からは「公表すれば、早く確認できたのではないか」などの批判を受けた。

 「実名報道できる?」。堤防決壊2日後の9月12日、市の災害対策本部のホワイトボードに書かれた一言だ。公表か非公表かの判断を協議した一端が、市鬼怒川水害対応に関する検証報告書に記されている。

 市は堤防が決壊した10日の午後7時ごろ、「連絡が取れない人」の人数を独自に7人と発表。12日からは県警と情報を擦り合わせて、氏名を出さずに15人と公表した。その人数は「行方不明者」として報道されたが、結果的に15日に全員の無事を確認。その間、捜索作業は続いていた。

 水害で市域の約3分の1が浸水し、4千人以上が救出された常総市。市が発表した人数には、「救助されたがどの避難所にいるか分からない」といった問い合わせのケースも含まれ、国が「災害が原因で所在不明となり、かつ死亡の疑いがある者」と定義する「行方不明者」とは異なるものだった。内部での検討でも、この点が非公表とする判断の決め手となったという。

 市安全安心課の斎藤健司課長は「生死が分からない状況であれば、(氏名を)出すべきだとなったと思う。どのような事情の人がいるか分からず、公表することでドメスティックバイオレンスなど別の問題で不利益が出るリスクを考えると、非公表は仕方なかった」と個人情報保護条例を念頭に置いた判断の経緯を振り返る。

 災害時に行方不明者の公表をするかどうかは各自治体に委ねられている現状に、「全国的に統一化した判断材料があれば、それにこしたことはないのだが…」と判断の難しさをにじませた。

【写真=鬼怒川の堤防が決壊し、濁流で壊れた家の残骸=2015年9月11日、常総市三坂町】



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