WWW http://www.iwate-np.co.jp


2018.1.3

 年が明けて、初めて見る夢が「初夢」。おおむね元日から2日にかけて見る夢とされ、昔は1年の計を占うとの言い伝えもあった。新年の始まりはそれだけ心が改まる。祖先の教えだろう

▼「夢」という言葉は謎が多い。語源を調べると、意外にも霊的要素が濃い。字の形は呪術を持つ巫女(みこ)が忍び込んできて心を乱す−という成り立ちで、漢文学者の故白川静さんは「本来あまり快い字ではない」と指摘した

▼そのためか、広辞苑を引くと、消極的な意味の説明から始まる。「幻覚」「はかないもの」「心の迷い」…。「夢は五臓の疲れ」という言葉があるが、こうした消極性と無関係ではないだろう

▼「実現したい願い」「理想」といった前向きな意味が強くなったのは近代以降とされる。現代に至っては、事に当たっての意気込みを示す、存在感を放つ一字に成長した。とはいえ、良くも悪くも人心を惑わす漢字であることに変わりない

▼山形県酒田市出身の詩人故吉野弘さんに「夢焼け」という作品がある。人はいろいろな夢に身を焼きながら生きている。色もなく、目にも見えないが、それが生きている証し−。そんな思いが込められている

▼大きな夢、ささやかな夢。はかなくも、迷いと理想に心を焼かれながら、今日を生き、明日を迎える。人生の起伏は夢が紡ぐ。今年1年、良き夢を。


   
トップへ