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2018.1.1

 俳人中村草田男が「降る雪や明治は遠くなりにけり」と詠んだのは1931(昭和6)年。明治が終わって20年の頃だ。平成も30年。来春は今上天皇が退位する。明治どころか昭和も遠い

▼そんなご時世に、政府は今年を明治元年から満150年と位置付けて関連施策を推進する。官邸のホームページは「明治以降の歩みを次世代に遺(のこ)す」「明治の精神に学び、更(さら)に飛躍する国へ」と基本理念を記す

▼半世紀前、政府は「明治100年」を祝い、天皇、皇后両陛下を迎えて東京・日本武道館で1万人規模の記念式典を開いた。時の首相は、安倍晋三首相の大叔父に当たる佐藤栄作氏。ともに長州・山口の出身だ

▼さらに半世紀前、「明治50年」の1918年も山口生まれの寺内正毅首相だったのは、偶然とは言えまい。長州や薩摩(鹿児島)など、維新を主導した西日本の雄藩出身者が新政府の要職を占めた時代の流れだ

▼「明治50年」を象徴する首相は寺内ではない。同年、シベリア出兵に端を発する米騒動をめぐり寺内内閣が倒れた後を継いだのは、官軍に最後まで抵抗した南部盛岡出身の原敬。今年は「藩閥打破100年」だ

▼明治維新が近代日本の夜明けとなったのは確か。その光の中で往時をしのぶも一興なら、陰に置かれた苦難をしのぶも一興。「遺す」べきを思う150年目の初春だ。


   
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