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2012.2.10

 宮沢賢治の童話「水仙月の四日」は、何月を指すのだろう。研究者を悩ませてきたテーマだ。宮沢賢治記念館によると、4月説が有力だが、3月、2月説もある

 ▼北国の住人としては、水仙月は今ごろのような気がしてならない。立春を迎えて一時緩んだ寒さが再び戻ってきた。行きつ戻りつしながら季節が足踏みする。この童話に、そんな「春の予感」を感じるからだ

 ▼物語では「雪童子(わらす)」「雪婆(ば)んご」「雪狼(オイノ)」による冬の演出が幻想的につづられる。注目したいのは雪童子が叫ぶ言葉。「もう水仙が咲き出すぞ」。内陸では4月ごろにならないと咲かないが、岩手は広い。気仙地方からは早くも開花の便りが届いた

 ▼吹雪に巻かれた子にかける声も既に冬ではない。「きょうはそんなに寒くない」。一晩中、雪を降らせた雪童子たちは最後に言う。「今年じゅうに、もう二へんぐらいのものだろう」。明らかに季節の変化を示している

 ▼今年はいつにもまして春が待ち遠しい。厳しい冬に耐えている被災者はなおさらだろう。きょう復興庁がスタート。季節を追い越すほどのスピードで、これまでの遅れを取り戻してほしい。復興のつち音が何よりの春風になる

 ▼水仙の別名は「雪中花」。雪が残る被災地にも、新たな古里の再建という大輪の花を咲かせたい。


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