避難場所過信せず高台へ 「命を守る誓い」本紙提言


 岩手日報社は、首都大学東京の渡辺英徳准教授(情報学・芸術工学・デザイン)の研究室と共同で、東日本大震災の犠牲者の地震発生から津波襲来までの行動を紙面とデジタルの両面で再現した。震災から5年を迎えるに当たり、追悼企画「忘れない」に協力いただいた遺族に再取材し、県内の死者・行方不明者1326人の行動を地図上で分析。低地の避難場所に向かう人が多いことや、半数以上(54・9%)が自宅にとどまったことが浮き彫りになった。犠牲者の遺訓を受け「避難場所を過信せず、少しでも高い場所へ」など「命を守る5年の誓い」を提言する。

 「誓い」は▽とにかく逃げる 逃げたら戻らない▽助かるための避難訓練を▽「ここまで津波は来ない」は通用しない▽災害弱者を救うルールづくりを−を含む5項目とした。

 行動記録は犠牲者2135人について分析し、うち地震発生時と津波襲来時の居場所が詳細に判明した犠牲者1326人の動きを地図上で再現した。遺族の了解を得た687人(男性296人、女性391人)は実名で掲載した。

 県内最多の1761人の死者・行方不明者を出した陸前高田市では、高田町の海抜2〜3メートルにある市民体育館などの指定避難所に集まってくる様子が分かる。海側だけでなく山側からも逃げ込み、多くが犠牲になった。

 犠牲者のうち、地震後にすぐ避難した人は11・1%のみ。何らかの行動後に避難した人が27・3%、避難せずに自宅や勤務先などに残った人は29・3%で、すぐに避難することが命を守る大前提であることが分かる。渡辺准教授は4月から米・ハーバード大の客員研究員に就き、犠牲者の行動記録を同大の震災アーカイブスに生かす。

【写真=東日本大震災発生時の陸前高田市中心部の犠牲者の行動記(青は男性、赤は女性を表す)】

(2016/03/05)
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