賢治妹の回想録出版へ 岩田シゲ執筆、「永訣の朝」逸話も


 花巻市生まれの詩人で童話作家の宮沢賢治(1896〜1933年)の妹岩田シゲ(1901〜87年)による回想録が近く出版される。賢治の詩「永訣(えいけつ)の朝」に描かれた上の妹トシ(1898〜1922年)の最期の様子のほか、幼少期の賢治のエピソードもつづられている。

 回想録は「屋根の上が好きな兄と私」(蒼丘書林)。監修した実践女子大の栗原敦名誉教授は同書に解説を寄せ、シゲの「繊細かつ生き生きとした筆致」を指摘。多くの貴重な事実が明らかにされた意義を強調している。

 回想録はシゲが70歳を過ぎた頃から書きためていた。没後に次男夫妻が「孫たちへ」と題した冊子にして親族に配った。存在を知った栗原さんが確認し、監修。15編に構成し、賢治やシゲの略年譜や家系略図も付けた。

 「永訣の朝」では、病床のトシに「あめゆじゅとてちてけんじゃ(雨雪を取ってきてください)」と頼まれた賢治が、碗(わん)に雪をよそってきて食べさせる情景が描かれた。今回収録の「姉の死」で、シゲはこの日を回想。「賢治兄さんは何か言いながら採ってきた松を枕元に飾り、お茶碗の雪を少しづつさじですくって食べさせてあげましたっけ」と振り返っている。

(2017/12/06)
[PR]

トップへ