「『うれしい、見える』という笑顔が何ともいえない。その笑顔に触れると『また、来年も来よう』と思う」
1998年から毎年、全国各地から提供を受けた眼鏡フレームを携えてネパールの無医村を訪問している。村人一人一人に視力検査やレンズ度数の調整をし、眼鏡を贈る「メガネボランティアinネパール」。12年目の今年も来月中旬にネパールを訪れる予定だ。
昨年まで11回の訪問で眼鏡を手にした人は延べ3178人。併せて実施しているネパール人眼科医による診療を受けた人は2428人に上る。
「現地はまきが燃料。煙による影響なのか結膜炎にかかる人が多く、高地の強い紫外線に起因する白内障もよく見られる」という。
活動のきっかけは94年、仲間4人で訪れた写真撮影旅行だった。知り合った日本語学校生と交流するうちにネパール人の温かい心に触れ「何かしよう」と決意した。
最初は木の伐採で丸裸になった土地への植樹を考えた。ところが膨大な費用と人手が必要なことが分かり、断念。「眼鏡屋なんだから眼鏡で役に立とう」と発想を換えた。
訪問団が村で活動を始めると、数百人が順番を待つ。現地の国立外国語学院日本語課程の学生らボランティアの協力を得て懸命に進めるが、昼食が夕方になることもある。
首都カトマンズの眼鏡店でレンズをはめてもらい、約1週間後に再び訪問。装着具合を調整してから手渡す。
検査、検診から再訪問するまでの期間を利用し、学校や児童養護施設などを回り、県民などから寄せてもらった文房具や学校保健薬、工業高校生らに修理してもらった車いすを贈っている。
「ここまで続けてこられたのは周りの人たちの協力あってこそ」と松田さん。今年は来月18日から12日間の予定で、10年ぶりにセティデビ村を訪ねる。前回手づくりの感謝状を贈られたという思い出の地。「懐かしい人に会えるかな」。松田さんの表情が和んだ。
【写真=ネパールで眼鏡提供のボランティア活動を続ける松田陽二さん。来月の訪問を前に準備に追われている】