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2011年2月2日 投稿者:平泉 宣
人口減少問題と地域医療福祉連携岩手県立山田病院地域医療福祉連携室長 平泉 宣
わが国では少子高齢化に伴う人口構成変化と産業基盤の都市化現象が続き岩手県は人口減少県となって久しい。5年前の国勢調査から本県の予測人口減少率推計は30年後(2035年)25%に達し特に沿岸・山間部市町村は40%前後となっていて将来地域人口は半減する。
現在まで県内沿岸・山間部等過疎地域では農林水産業など基幹一次産業経済衰退に合わせ少子高齢化も一段と進んでいるが、地域医療では市町村合併による広域行政・医療圏再編進行に従って公的医療機関が主たる中核病院と従たる地域病院とに二極分化され、過疎地域では更に地域病院の無床診療所化が進んでいる。
高齢者医療区分制度導入を契機に75歳以上の後期高齢者は介護保険対象に繰り入れられる傾向が拡大しており、介護施設入所待機者数が増大する一方で地域病院入院患者減少傾向が顕著となった。地域病院の入院ベッド稼働率低下は公立病院存続を脅かす大きな要因となっていると言えよう。こうしたなか若年・壮年者居住人口減少に反比例して取り残された老人世帯が増加しているわが国過疎地域での医療福祉連携は今後どのように展望されるであろうか?
過去10年間岩手県内の入院ベッド数100床以下小規模地域病院はいずれも経営が苦しくこれまで実に6病院(伊保内・大迫・紫波・住田・花泉・沼宮内)の無床診療所化即ちリストラが終了し、現在4病院(東和・大槌・高田・山田)が残されている。病棟休止縮小で小規模地域病院となった高田・大槌・山田の3病院に加え、入院患者減少が続くベッド数100−200床の中規模地域病院(一戸・江刺・大東・千厩・遠野)でも一部病棟閉鎖に追い込まれており、ようやく岩手県内でも地域病院存続問題の本質が地元住民の関心を集め始めている。
これら地域病院のなかで医業実績が比較的安定しているのは東和・軽米両病院であるが、東和病院では特別老人介護施設が敷地内に隣接されており、一方軽米病院では8年前から入院ベッド半数を療養病床に転換して広く周辺地域から介護療養患者を受け容れてきた。こうした医療介護福祉連携によって入院患者を確保する介護施設併設型或いは療養病床併設型地域病院は入院ベッド稼働率が常時80%以上確保され病院経営も安定する。
介護施設併設型でも療養病床併設型でもなく小規模地域病院となって縮小移転した山田病院は勤務医師不足の煽りを受け常勤医僅か2名となった。地域病院生き残りをかけ第三の道を模索してきたが、これまで二つの町内特別老人介護施設(合計200床)と連携し病状急変患者や重症患者収容を受け入れてきた他、地域病院として在宅支援医療にも積極的に取り組んできており、その結果大幅増加した訪問診療件数は過去4年間900件前後で推移、町内では介護度4−5度寝たきり高齢者の多くが当院からの在宅支援医療を受けるに到っている。
こうした地域医療福祉連携活動により、これまで事業所がなかった訪問看護ステーションが新たに地域で活動を始め在宅療養患者支援サービスが格段に向上してきている他、町外の特別老人介護施設からも病状急変患者や重症患者収容要請があり、加えて町外・圏域外の療養病床病院や基幹病院からも広く患者収容要請が来るようになった。
また圏域では唯一整形外科手術入院応需施設であり、眼科・循環器科・呼吸器科・小児科など専門外来維持と併せ地域福祉医療センターとしての役割と外科・整形外科常勤医師によるサージセンター機能継続とは今後益々その重要性を増していくものと予想される。岩手県民医療は大幅な人口減少によって将来大きく変っていくであろう。
一部都市地域では持続可能な地域医療が提供されるが、県土の大半を占める沿岸・山間部過疎地域では人口半減とともに医療需要も半減するため地域病院は医療介護福祉連携をいっそう重要視するべきである。一方で医師の地域偏在現象はますます顕著になっているので公的地域病院・診療所への勤務医師派遣制度を早急に創設する必要があり、開業医による新規診療所開設を許認可制として適正な医師配置にも取り組むべきであろう。
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