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地震計は振り切れていた−。岩手・宮城内陸地震で、原子力安全基盤機構が一関市厳美町に設置した地震計。記録できる上限値を超えていた。
地震計はもともと「微小地震」観測が目的。同機構の儘田(ままだ)豊主任研究員は「ごく小さい地震が狙える場所として、ここを選んだ。まさか大地震が来るとは」と驚きを隠せない。
小さな揺れを想定していたため、感度は通常の地震計の10倍。震源近くでは振り切れるなど、巨大地震は「想定外」だった。
文部科学省は「近年国内で発生した最大規模の逆断層型内陸地震」として、発生メカニズムなどの調査に乗り出した東北大、東京大などのチームに緊急の科学研究費を交付した。
代表者の海野徳仁東北大教授(地震学)は「まだデータが足りない状況。余震分布などがそろえば、断層の正確な位置や仕組みも解明できるだろう」と状況を見ている。
複数の研究者が地震断層とみられる地表変位を確認しているが、地下の断層の様子を一致させるためにも、観測結果が待たれる。
その地震断層があった一関市厳美町柧木立(はのきだち)では、鈴木康弘名古屋大教授(変動地形学)らが掘削調査。過去に活動した形跡を見つけ主断層ではないものの活断層と確認した。
鈴木教授は「これまでは明らかに活断層と分かる場所が示されてきたが、調査すべき場所はたくさんある。細かく調べなければ駄目だ」と訴える。
県内には3本の活断層があるとされていたが、それ以外にも存在する可能性は否定できない。特に地下部分での解明が重要だ。
東京大地震研究所の島崎邦彦教授(地震学)は「地表に出ている部分が短くても地下で数十キロにわたることもあり、マグニチュード7クラスの大地震を起こす」と解説する。
一関市周辺は活火山の栗駒山や群発地震など、地下への警戒を指摘する声はこれまでもあった。しかし「逆断層型」の直下型地震が起こるという指摘はなく、いわば地震研究の空白域だった。
同地域に詳しい土井宣夫・前県火山対策指導顧問は「地下構造を把握するため従来よりはるかに精密な調査をしなければならない」と指摘する。
いまだ知られていない活断層の探査は地道な作業。国にはさらに細かく、丁寧に活断層を見つめる姿勢が求められている。
【写真=今回の地震で、東側(左)が隆起し、地表が約30センチずれた活断層。空白域でも細かな調査が求められる=5日、一関市厳美町】
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